お知らせ

2012年4月から新潟大学大学院に共生経済学研究センターを立ち上げました!グローバルな視野を踏まえながら、地域目線の研究活動を企画していきます。今年度は新潟市における公契約条例制定の可能性について検討中です。

2012年8月12日日曜日

「弱肉強食」――次の標的は誰だ?

カリフォルニア大学バークレイ校のライシュ教授によると、共和党の大統領候補ロムニーが副大統領候補に指名した下院予算委員会委員長ライアンは、現在の緊縮財政政策(アメリカ経済自体と世界経済に不況圧力を加えている)を主導しただけでなく、弱肉強食を正当化する「社会ダーウィニズム」思想の持ち主でもあるということです。政府が介入しない自由な競争のもとでこそ「適者生存」が実現するのであって、それこそが神のご意志だ…と。だからブッシュ政権が残した富裕層減税を恒久化し、貧困層・高齢者層向けの医療保険や食料切符などを大幅削減する、そしてオバマ政権の医療保険改革法(中途半端だけど、なにもしないよりはましなもの)も廃止する、つまり政府の不要な介入をやめることが望ましい、ということになるわけです(http://robertreich.org/post/29215926175#.UCb7coSXcN4.facebook)。
 
大統領選挙戦は現職のオバマと野党候補のロムニーがほぼ互角の様相ですが、もしロムニーが勝てばライアンと一緒に「社会ダーウィニズム」を推し進めるのは確実で、そうなればアメリカ合州国という国は、ますます貧困大国化していくでしょう。世界経済もさらに不況色を強めるはずで、悪循環がさらに繰り返されるのは間違いありません。

 ひるがえって日本はというと、財界の大企業役員をはじめとする富裕層やその政治的代理人に、こういった「社会ダーウィニズム」思想をみてとれるように思えます。個々人の「自立」だとか、「自己責任」だとかをやたら強調するのがそれです。ただアメリカほどあからさまではないだけに、政治意識がまだまだ幼い大半の庶民は、何のことかよくわからず、場合によっては「耳触りの良い」言葉として受け取ってしまいがち。そうならないように、「いかさま」のからくりをこんな風に暴露し、できる限り多くの人たちにそのことを自覚してもらい、思想と行動と社会を変えていく必要があります。
 
そして、その方向への兆しは、僕が前に期待していたように、脱原発運動が広がるなかで都会を中心に現れてきているようです。原発のことで煮え湯を飲まされただけに、「一体改革」法案の成立による消費税率引き上げについても、運動に参加している人たちの間にはなにかと不信感が芽生えてきているのです(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012081102000115.html?fb_action_ids=175450682589468&fb_action_types=og.recommends&fb_source=aggregation&fb_aggregation_id=246965925417366)。
 
ただ、原発も「一体改革」も「格差社会」も自分には関係ないと高をくくっている人は、まだまだ多いように見受けられます。そしてそういった人たちは、案外、地方にも多いのかもしれません。国家公務員ほどのショックに直撃されていない地方公務員が散らばっており、住居や子育てなどでなにかと親の支援も受けやすい、都会の消費パターンに刺激されにくいから欲求を抑制できる(つましい生活をすればなんとかなる)、農村を中心とした保守的な考えが染みついている(お上に真正面からたてつくなど、とんでもない;お灸をすえるくらいはするけど)、などなど。でも言っておきますが、そんな「最後の中間層」も、まず間違いなく次の標的になりますよ――強欲な富裕層とその政治的代理人たちの。
 
あとで後悔しないように、いまのうちから「99%」につく覚悟を固めておいた方がいいと思います。「弱肉強食」の社会ダーウィニズムの餌食にならないように。